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最高裁判所第二小法廷 昭和25年(れ)1652号 判決

本籍

佐賀県小城郡小城町鯖岡小路三九三番地

住居

姫路市北条町元海軍衣糧廠跡

職工

大坪貞雄

明治四四年二月一九日生

右の者に対する詐欺被告事件について、昭和二五年七月一七日大阪高等裁判所の言渡した判決に対し、被告人から上告の申立があつたので、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人大坪貞雄の上告趣意について。

主要食糧に関し、原判決認定のような不正受配の行為は刑法詐欺罪を構成し、所論食糧緊急措置令一〇条違反をもつて問擬すべきものでないことは、既に当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第三二九号同年七月一五日第一小法廷判決、判例集二巻八号九〇三頁以下)。又それが公定価額を支払つて受配しても詐欺罪の成立を妨げるものでないことも、当裁判所の判例の趣旨とするところである(昭和二二年(れ)第六号同二三年六月九日大法廷判決)。されば、原判決には何等所論の違法はないから論旨は採用できない。

よつて、刑訴施行法二条旧刑訴四四六条に従い、裁判官全員一致の意見によつて、主文のとおり判決する。

検察官 濱田龍信関与

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

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